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「……妻は、ギルバートが7歳の時に亡くなった。優しくて、明るい……最愛の妻だった。
……。
私は、妻に似たギルバートを……。大切に、したかった」
アルバート様は、写真を見つめながらポツリポツリと呟くように話す。
「……だが。
私がギルバートにしてきた事は、あいつが本当に望んだものではなかった。
気付いた時には、遅かったな……」
静かな悲しい声。
自分がしてきた事を、本当に悔やんでいるんだと……。
そしてアルバート様はちゃんと家族を愛していたんだと、伝わってきた。
「……。
なんて、お前に話しても困ってしまうな?
……。これを、今日は渡しにきた」
黙って話を聞いていた私に、アルバート様は懐から一枚の紙を取り出すと、広げてテーブルに置く。
「!……これ、っ」
その紙は、私とヴァロンの結婚を認める証明書。
そこの承認欄に、アルバート様のサインが書いてある。
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