MEMENTO MORI

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MEMENTO MORI

Q.神様はいると思いますか? 誰もが一度は考えることがあるだろう、この疑問。 ……その答えが分かる日は来るんだろうか。 母親が亡くなって、母方の祖母に引き取られて引っ越してきた田舎町。 幼馴染の沙織の両親が俺を同居させてもいいと申し出てくれたが、断った。 ……沙織を傷付けた俺には、あの家にいる資格なんてない。 祖母の家の近くの高校に転校はしたものの、 俺は毎日学校にも行かず、ブラブラしたり海を眺めたりしながら毎日を過ごしていた。 何もする気が起こらない。 ずっと曇ったままのこの気分は、何をしたら晴れるんだろう? タバコ吸うとか? 学校辞めるとか? それすらする気にもならないけど、不良になる人の気持ちってこんな感じかなとか考えた。 「……いっそ、母さんじゃなくて俺が……」 思わず呟いた ……その時、後頭部に軽い衝撃を受けて振り返った。 ……小石? 視線の先にいたのは、初夏だというのに長袖の、しかもブカブカのセーラー服を着た少女。 不機嫌そうな表情で俺を真っ直ぐに見つめていた。 小学生……が、中学のお姉さんの制服でも着てる……のか? 「ねえ、神様っていると思う?」 ……は? もしかして宗教の勧誘? 「よく、生まれた時に寿命は決まってるって言うじゃない?それって本当にあると思う?」 少女が矢継ぎ早に言った質問に、俺は苛立ちを覚える。 「……なんだよそれ……」 それなら、母さんだって死ぬことも決まってたとでも言うのか……? この少女が俺の事情なんて知らないことは分かってる。 でも怒りが込み上げてくるのを抑えられなかった。 「…そんな神様なら要らない」 怒りを声に滲ませながら睨みつける。 ……でも、次の瞬間には全く別の感情になっていた。 その少女が、あまりにも嬉しそうに微笑んで ……そして、倒れたから……。
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