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「ひかりーっ? ひかり、そこにいるの!?」
「あれ……おかあさん?」
少しして、ぼうっと立ち尽くしていたひかりの元に両親が走ってやってきた。ひかりがいなくなったことに気付いて、この辺りを探し回っていたのだろう。
「もう、心配かけて! 何してたの!」
「……わかんない。なんで、おそとにいるんだろ……」
「はあ、よかった……悪かったよ、昼間は拳骨なんかして。でもな、お父さんもお母さんもひかりが心配なんだから」
「うん……ごめんなさい」
素直に謝ったひかりに、両親は苦笑してから頭を撫でた。そして父親がひかりの体を抱き上げて、日曜日はどこかに出かけようか、なんて話しながら鳥居をくぐって去っていく。
その姿を、僕はただじっと遠くから眺めていた。
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