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結論から言うと、私は実家の味噌蔵を継がなかった。それは意地を張っているわけでもなんでもなく、ただ単に私よりもっと向いている人がいると思ったからだ。
両親ともきちんと相談してみたところ、意外にもすんなりと「分かった」と頷いてくれた。どうやら、私が戻ってこなかった場合のことを考えて、蔵で働いてくれている社員さんの中から継いでくれそうな人材を探していたらしい。お父さん曰く、「今さら世襲にこだわるのも馬鹿らしいからな」とのことだ。それを聞いて、私は拍子抜けするあまり笑ってしまったのをよく覚えている。
そして、代わりに私が選んだ道は、いつか千歳に語った夢物語を現実にすることだった。
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