それは、ひとよの

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それは、ひとよの

 私の持ってきた味噌汁を綺麗に平らげると、千歳は満足そうに「ごちそうさま」と手を合わせた。それに笑顔で頷くと、あれよあれよという間に冷たい床に横たえられ、その上に千歳が覆い被さる。何をする気かと問う前に、私の唇は千歳によって塞がれてしまった。  久しぶりに感じるその柔らかさと熱にうっとりと目を細めたのも束の間、彼の手は私の着ていた服のジッパーを当たり前のように下ろしにかかる。 「んっ……! ち、ちとせ? まさか、その……」 「うん? お腹も満たされたし、ひかりを抱こうと思うんだけど。だめ?」 「や、やっぱり! 駄目に決まってるでしょっ、ここ神社だよ!?」 「でも、僕のために建ててくれたんでしょう? その僕がいいって言ってるんだから、いいんじゃないかな」  そういう問題ではないような気がするが、千歳はおかまいなしで私の唇を貪った。彼の匂いに包まれながら舌を絡め取られているうちに、熱に浮かされたように思考が覚束なくなる。こんなところでするのか、という躊躇いが消えたわけではないけれど、今だけはこの温もりに溺れていたかった。 「ん……でも、さすがに床の上じゃあ冷たいかな。ちょっと背中上げて、これ敷いてあげるから」 「う、ん……」  言われるがまま背中を浮かすと、千歳は着ていたシャツを脱いでそれを下に敷いてくれる。そしてまたすぐにその上に寝かされて、私の着ていたパーカーもTシャツも脱がされてしまった。 「……そういえば千歳、今日はこの服なんだね。消えちゃった時は、和服だったのに」 「え? ……確かに、そうだね。おかしいな、どうしてだろう……」  ふと浮かんだ疑問を口にすると、千歳も手を止めて考え込む。しかしすぐに、まあいいか、と笑ってから私の首筋をぺろりと舐め上げた。 「ひっ、ん……!」 「服なんかより、僕を見てよ。恋しかったでしょう?」 「じ……自分で言う……?」 「だって、さっきの反応見たら分かるよ。ひかりが、どれほど僕を求めていたか」
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