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子供の頃に君に
「好きだ。」
と言った。
君は笑いながら
「私も好きだよ。」
と言う。
君はきっとこの好きを「愛」とは思っていないのだろうけど、私はそんなことないんだよ。
たとえ君と私がどちらも女の子とだとしても。
君が好きで好きでたまらなくて、小中高何も考えずに私は君についていった。君はいつも笑って、夢はないの?っていつも聞いていた。今考えると煙たがられてたのかもしれないって思うけど、私は気付かなかった。
君の好きという言葉で作られた甘い夢を見ていた私は眠っていたから。
告白だってされたことはある。それも20回も。だけど私の夢は揺るがなかった。私は白雪姫で君という白馬の王子様を待つ夢を見る。甘い甘いそんな夢。いつも優しい言葉で振り払う。少し強くいったこともあったかもしれないけど。
だけどそんな日々は続かない。君は
「私に私のしたいように生きて」
と言って、高校2年生の時に転校した。
私は君のことを探した。必死に必死に。
だけど、結局君は見つからなかった。
そしたら私の道は無くなった。どこにも道が見えなくなった。
その時私は気付いた。自分が夜の街灯に集まることしかできないような、ちっぽけな虫だと言うことに。
私は王子様を切に願う白雪姫じゃないことに気付いた。
その後私は普通に生きた。誰もが進むような当たり前の道を歩き続けた。
仕事をして、お金を稼いで、ご飯を食べて、仕事をして、お金を稼いで、ご飯を食べて。
そんな生活をしていると一通の手紙が家に届く。
その手紙は君からの手紙で、私は少し驚いたが、それ以上に君の手紙が嬉しくて、すぐに君の元へ向かった。
そして、君を見ることができた。
白いドレスに包まれと隣に一人の男性と一緒にいる、君を。
君は自分で考えて、努力して、そして、お姫様になっていた。自分自身で王子さまを見つけ、お姫様になったんだ。
その後ブーケトスが行われ、私の元にスッとブーケが入る。
ブーケを取った私に対して、周りが拍手をする。その中で君を見つめると君はニコリと微笑んでくれる。
あー、そうか。君の笑顔を見て気付くのだ。
私がどうしようもなく、君が好きなこと。そして、そんな私はどうしようもなく壊れていたんだということを。
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