5.アパートにて

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「ただいまぁ」 なんだかんだと、怪我をしてから1度も帰ってきていなかった自分の部屋に、ようやく帰ってきた堀越は、誰もいない部屋に向かって小さく声をかける。 入院して2週間、遊佐のマンションに1週間、3週間ぶりの自宅である。 当初全治2ヶ月と言われた肋骨も、若さのおかげか経過も順調で、随分痛みもおさまって、日常生活には支障がないぐらいまで回復してきている。 バイトはもう少し休む必要がありそうだけれども、そろそろ学校には出ないと単位がヤバイので、遊佐に頼んで先程家まで送って貰ったというわけだ。 遊佐は物凄く名残惜しそうだったけれども。 堀越にも譲れないことはある。 特に、親のお金で通わせて貰っている以上、学生の本分を疎かにするわけにはいかない。 堀越の実家は、どちらかと言えば裕福な家庭の部類に入るとは思うけれども、それでも、年子の息子二人を大学に通わせて1人暮らしさせるのは、非常に金銭的な負担がかかっているのは間違いわけで。 だから、堀越は、扶養範囲を超えそうになるほどバイト三昧の生活を送りつつも、学業を疎かにしたことはない。 それは、同じく東京の近県で大学に通っている弟も、同様に思っているようで。 幾分正常の範囲を超えそうになるほどのブラコンのくせに、昂平が堀越のところにあまり顔を出さないのは、単純に忙しいからなのである。 昂平は、学生の本分はもちろんのこと、仕送りを減らすためのバイトのほかに部活までやっているので、堀越の何倍も多忙な毎日を送っているはずで。 その弟を、入院している2週間もの間束縛してしまったことを、堀越は申し訳なく思っていた。 だから、普段滅多に堀越から電話することはないのだけれども、帰宅したら真っ先に弟に電話してお礼を言っておかなければ、と彼はスマホを取り出した。

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