悦楽の突端で見えるもの

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 囁くように呼ぶ声が耳から滑り込み、首筋に唇が寄せられた。 フルッと躰を震わせた美夕は、貴臣の躯から伝わるものに戸惑う。  どうして、こんなに優しく抱くの。 でも、その柔らかさの中に感じてしまう微かな寂しさ。  だから、本気で拒めなくなってしまう。  わたしは、弱いの?  求めるように伸ばしたわたしの手の先には、誰がいるの。  美夕は、抱きしめる貴臣の背中に回した腕に力を込めた。
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