悦楽の突端で見えるもの

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「綾香には会わなかったか」  ベッドに横になる美夕に貴臣が聞いた。 「綾香さんに?」  背後から抱きしめていた貴臣を見ようと身体を動かそうとした美夕だったが、力強い腕に阻まれ、動けなかった。 美夕は、抱かれたまま首を振った。 「会わなかった。 今日はあそこにいなかったと思う」  貴臣は、そうか、と静かに答えた。  美夕は今日、大学を出る時にメールをしてきた貴臣に、これから梅郷キャンパスに行く事を伝えていた。
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