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しかし、届けてみると、研究論文の締め切り間近だったのか、研究室は殺伐としており、神谷の忙しそうな姿を見、放ってはおけなくなった。
結局、持ってきた資料をまとめる手伝いを二時間近く手伝った。
「こんなところまで来てもらって、本来なら私が駅まで車で送ってあげるべきなのだろうけど、今はこの通りとても手が離せる状態じゃなくてね」
顔の前で手を振った美夕に、神谷はスーツのポケットから二千円を取り出し、差し出した。
「ここは女の子一人でバス待ってても心配なところだから、タクシーに乗って帰りなさい。
呼べばすぐに来てくれるから」
美夕は微笑と共に肩を竦め、神谷の手を差し戻した。
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