254人が本棚に入れています
本棚に追加
「橘君」
美夕が去り、建物の外に出た事を確認した神谷は、部屋の奥の衝立の向こうに話しかけた。
「いい子を紹介してくれたね」
衝立の向こうから、クスリと笑う声がし、資料を手にした橘綾香が姿を見せた。
綾香は、美夕が通う大学で教授達の手伝いをしている研究生だった。
「呼べば来ます、ですって。
先生、お好きにお使いになったらいいわ」
意味深な笑みを浮かべた綾香に、還暦を迎える紳士はフフと笑い「そうさせてもらおう」と応えた。
最初のコメントを投稿しよう!