1 12才だけどワケあり6才+記憶喪失=イケメン変人義兄4人

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「俺は元からこの家の息子だ」  てことは、士朗お兄ちゃんがその跡継ぎ。  ……えええええ?!  このバカでかい屋敷のおぼっちゃま?! 「……ぼっちゃまって言ったほうがいい?」 「やめろ」  真剣に聞けば、ものすごく嫌そうに断られた。  蒼太お兄ちゃんがコロコロ笑う。 「アタシと翠生と紅介が分家の人間ってことよ」  どうりで兄弟なのに『兄さん』とか言わなかったはずだ。 「俺はそうやって集められた子と兄弟のように暮らしてた。桃も来るはずだったんだが、その途中、迎えの車が事故に巻き込まれた」  事故。  ひゅっと息が詰まる。 「桃はそれで大けがを負った。同情してた桃の両親とうちの、運転手も即死だ」  死んだ―――。あたしの両親が―――。 「桃の祖父母はすでに亡く、次の近親者っていうとうちだ。元々来るはずだったし、引き取ることになったわけ」 「そう……」  あたしの家族はもういないんだ……。  両親が死んだってことは信じられた。事実だと胸にすとんと落ちた。  覚えてないのに。  ……きっとあたしは両親の死の瞬間を目の当たりにしたんだろう。ショックで自分で自分の記憶を消した。  でも、待てよ。  首をかしげる。  それじゃ説明憑かないことが。 「事故にあったのって何年前?」 「六年前だ。それからずっとこん睡状態だったんだから」 「だよね。あたし、どう見ても小学校低学年。逆算すると、ゼロ歳~二歳くらいまでの間に事故に遭ったことになる。なのになんでこうやってしゃべれてるし、難しいことも考えられるの?」  絶対六歳の能力じゃない。  士朗お兄ちゃんは答えというすごい爆弾発言落とした。 「桃の成長は眠ってた間止まってた」  あたしはあんぐり口を開けた。 「……はい?」  なにその某無免許医の漫画にあった話みたいな。 「……どゆこと?」 「六歳の時のまま、体の成長が完全に停止してたんだ」 「そんなことってある!?」  意識はなくても、体の成長が止まるわけない。それとこれとは別だ。 「…………」  四人とも無言で困ったような顔してる。  原因は分からない。分かってたら、退院までに医者が教えてくれてただろう。  ……やめた。  考えても分かるわけないんなら、ほっとこう。  あたしは考えることを放棄した。現実逃避ともいう。 「この部屋、あたしが起きたから急いで用意したんだね」
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