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「俺は元からこの家の息子だ」
てことは、士朗お兄ちゃんがその跡継ぎ。
……えええええ?!
このバカでかい屋敷のおぼっちゃま?!
「……ぼっちゃまって言ったほうがいい?」
「やめろ」
真剣に聞けば、ものすごく嫌そうに断られた。
蒼太お兄ちゃんがコロコロ笑う。
「アタシと翠生と紅介が分家の人間ってことよ」
どうりで兄弟なのに『兄さん』とか言わなかったはずだ。
「俺はそうやって集められた子と兄弟のように暮らしてた。桃も来るはずだったんだが、その途中、迎えの車が事故に巻き込まれた」
事故。
ひゅっと息が詰まる。
「桃はそれで大けがを負った。同情してた桃の両親とうちの、運転手も即死だ」
死んだ―――。あたしの両親が―――。
「桃の祖父母はすでに亡く、次の近親者っていうとうちだ。元々来るはずだったし、引き取ることになったわけ」
「そう……」
あたしの家族はもういないんだ……。
両親が死んだってことは信じられた。事実だと胸にすとんと落ちた。
覚えてないのに。
……きっとあたしは両親の死の瞬間を目の当たりにしたんだろう。ショックで自分で自分の記憶を消した。
でも、待てよ。
首をかしげる。
それじゃ説明憑かないことが。
「事故にあったのって何年前?」
「六年前だ。それからずっとこん睡状態だったんだから」
「だよね。あたし、どう見ても小学校低学年。逆算すると、ゼロ歳~二歳くらいまでの間に事故に遭ったことになる。なのになんでこうやってしゃべれてるし、難しいことも考えられるの?」
絶対六歳の能力じゃない。
士朗お兄ちゃんは答えというすごい爆弾発言落とした。
「桃の成長は眠ってた間止まってた」
あたしはあんぐり口を開けた。
「……はい?」
なにその某無免許医の漫画にあった話みたいな。
「……どゆこと?」
「六歳の時のまま、体の成長が完全に停止してたんだ」
「そんなことってある!?」
意識はなくても、体の成長が止まるわけない。それとこれとは別だ。
「…………」
四人とも無言で困ったような顔してる。
原因は分からない。分かってたら、退院までに医者が教えてくれてただろう。
……やめた。
考えても分かるわけないんなら、ほっとこう。
あたしは考えることを放棄した。現実逃避ともいう。
「この部屋、あたしが起きたから急いで用意したんだね」
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