1 12才だけどワケあり6才+記憶喪失=イケメン変人義兄4人

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 だから新品ばっかで、あたしの好みとは違ってた。 「ゴメンねー。気に入らないのは買い直すから、言ってちょうだい」 「ううん、いいよ。そんなお金あたし持ってないもん」 「ご両親の遺産がけっこうありますよ。心配いりません」  本家がこれなら、分家だったうちも貧乏じゃなかっただろう。  当面お金の心配はなさそうだ。 「でも、居候だし」 「元々来る予定だったんだ。そもそも親元から離して教育するなんて、俺の両親の勝手」  稼業のため? 「って、稼業って何なの?」  政治家とか? 「んー……」  士朗お兄ちゃんが立ち上がった。 「言っても信じられないだろうな。百聞は一見に如かず。おいで」  また迷路を通り、広くて何もない部屋に連れてかれた。  四方の壁にはお札が貼られてる。  何て書いてあるのか分かんないけど……これ、陰陽師が使うお札みたいな感じだ。 「お札、仏教のじゃないよね。漫画で見た、陰陽師のっぽい」 「その通りだ」 「え? じゃ……」 「ええ、比良坂家は古くから続く陰陽師の家系なんですよ」  士朗お兄ちゃんはどっから出したのか、人形を中心に置いた。人形っていっても、かわいいぬいぐるみじゃない。怪しい日本人形。  どう見ても呪術の道具的な。  床にも謎の陣形が描かれてる。結界かな。 「それどうするの?」 「ある事件の証拠品として警察が押収したやつだ。処理を頼まれてな」  処理って、どうやって。 「こういう怨念がこもったものは、専門家が適切に処理しないとまずいからな。ほら」  どす黒いもやが立ち上る。  みるみるうちに巨大で邪悪な影になった。  素人でもヤバい怨霊だってのは分かる。 「やれやれ」  士朗お兄ちゃんはのんびりと人型の紙を出した。  まさか。  紙が武将姿の式神になり、斬りかかる。  おおお!  漫画やアニメでよく見る式神召喚ってやつね!  呪文はいらないんだー、へー。  式神はたった一体で怨霊を退治してしまった。影も形もない。  正味一分も経ってない気が。  あたしは目をキラキラさせて拍手した。 「すごーい! 士朗お兄ちゃん」 「こんなのたいしたことないぞ」 「すごいよ。その人形どうするの?」 「いわくつきアイテムってのは、きちんとクリーニングすれば使えることが多い。年代物のアンティークとして店で売る」 「売るの?!」
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