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いくら処理済みとはいえ、売っていいの?!
「こっちはちゃんと買い取って所有権持ってんだ。浄化もしたし、その後どうするかは買い手の自由だろ」
うん、まぁね?
「店ってどこで」
「士朗兄貴が骨董店やってんだよ」
は。
「あ、自営業ってそういうこと!」
「ああ。こういうのを処理し、売ってる」
「この子は髪の毛とかしたり、綺麗にしてあげないとねー。お洋服はアタシが作るわ」
お人形遊びの人形じゃないよ。呪いの人形だよ。
「ま、骨董屋始めたのは俺だ。先祖代々やってたのは占い」
「占い?」
水晶玉のぞきこむ魔女のイメージ。
「陰陽道は本来占星術だ。時の有力者につき、分かりやすく言うと破滅フラグ回避の方法を占ってた」
分かりやすい現代的説明。
権力者についてたなら、金持ちなはずだわ。
「でもこれは俺の代で辞めた」
「なんで?」
「そういうやつらの決断なんて、占いに頼らずやるべきだろ。それに、プライドばっかり高くてうるさい年寄につきあうのはまっぴらだ」
色々あったみたい。
「占い結果そのものも、比良坂家に都合のいいように変えて伝えてたしな。そんなインチキ、やめるべきだ」
「確かに」
「で、俺は政治だのなんだのと縁切って、ただの骨董屋始めた。ヤバいアイテム処理なら人助けにもなるしな」
「士朗お兄ちゃん、すごいね!」
純粋に尊敬して、腕にしがみついた。
「ね、あたしにも教えて!」
四人とも複雑な顔した。
「桃ちゃん、危険なことはやらなくていいのよ?」
「そうですよ。士朗さんは簡単にやってますが、簡単じゃないですからね」
「これだって士朗兄貴が個人的理由でやってるだけだし」
でも、居候の身で何も手伝わないわけにはいかない。
「このうちに来る予定だったってことは、あたしにも素質あるんでしょ? 手伝いたい」
「お手伝いなら、普通に皿洗いとかでいいのよ」
「―――分かった。いいだろう」
OKしたのは士朗お兄ちゃんだった。
「いいんですか?!」
「護身術として教えとく。そうすれば、危険が迫っても、例えばまた事故に巻き込まれても身を守れる」
「…………」
三人は押し黙った。
そう。あたしに力があれば、今度は誰かを助けることもできるかもしれない。
「そりゃそうだけどよ」
「どのみち、知らなきゃこの家で暮らしてくこともできないだろ」
「まぁね。まず迷うわね」
士朗お兄ちゃんはあたしを見た。
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