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「それは違う。確かに金はあるけど、それは代々あこぎな真似して貯めた金だ。俺が遊ぶための金じゃない。それは分かってる」
「…………」
真面目なんだかいい加減なんだか分からないセリフだ。
「俺はいわくつきアイテムの処理やってるだろ。けっこうもうかるんだよ。一個やっただけで数百万は軽くいく」
「数百万!?」
目をむいた。
マジか。
「だもんで、あくせく働く必要がない」
「分かった。でも、そういう仕事ってそんな頻繁にあるわけじゃないんでしょ。コンスタントに依頼あるとも思えない」
「不定期ではあるな。ただ、知人のツテである程度はコンスタントに来るから。まったくないわけじゃない。それに、それなりに力使うんだよ。やたら連続してできるもんでもない」
「あ、そっか……」
ここでさりげなく後ろにいた太陰さんがツッコミを入れた。
「間違いではありませんが、正確でもありませんね。在庫たまってますよね?」
士朗お兄ちゃんはスッと視線をそらした。
ちょっとこら!
「そんなことより、桃の買い出し行こう!」
「ごまかした」
「ごまかしてない。小学校で使う用品が必要だろ」
あ。
今の今まで、自分が学生なの忘れてた。
「これまでの欠席は病欠あつかいになってる。で、問題が学年だ。桃の本当の年齢は12だろ」
「うん。え、あたし小6に編入するの?」
「だよなぁ。学業面からいっても、身体的な面からいっても、無理がある。そこで特例として事故前の小1を途中から続けることになった」
よかった。
いくら実年齢が12だからって、長年こん睡状態で目が覚めた途端に小6のクラスに入って、じゃきつすぎる。
あたしそんな頭よくないし。
「そのほうがいい」
「だろ。てわけで小1用の買いに行く」
「前に使ってたのはないの?」
「学校によって指定品違うらしいんだ。これリスト。給食袋やランチマットは、蒼太が生地買ってくれば作るって張り切ってる」
お人形の服作るって言ってたくらいだ、手芸得意なのね。
そんなわけで士朗お兄ちゃんの車で買い出しに行った。
♪キャラプロフ♪ ~太陰~
12天将の中でも重鎮をつけてもらったことに桃は気づいていない。
皆から「おっかさん」と呼ばれていて、実は士朗の母親代わり。訳あってほったらかしにされていた士朗の面倒を見ていた。オムツ替えてもらったこともあるので、士朗も彼女には頭が上がらない。
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