2 イケメン長兄(当主)はダメ大人

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「それは違う。確かに金はあるけど、それは代々あこぎな真似して貯めた金だ。俺が遊ぶための金じゃない。それは分かってる」 「…………」  真面目なんだかいい加減なんだか分からないセリフだ。 「俺はいわくつきアイテムの処理やってるだろ。けっこうもうかるんだよ。一個やっただけで数百万は軽くいく」 「数百万!?」  目をむいた。  マジか。 「だもんで、あくせく働く必要がない」 「分かった。でも、そういう仕事ってそんな頻繁にあるわけじゃないんでしょ。コンスタントに依頼あるとも思えない」 「不定期ではあるな。ただ、知人のツテである程度はコンスタントに来るから。まったくないわけじゃない。それに、それなりに力使うんだよ。やたら連続してできるもんでもない」 「あ、そっか……」  ここでさりげなく後ろにいた太陰さんがツッコミを入れた。 「間違いではありませんが、正確でもありませんね。在庫たまってますよね?」  士朗お兄ちゃんはスッと視線をそらした。  ちょっとこら! 「そんなことより、桃の買い出し行こう!」 「ごまかした」 「ごまかしてない。小学校で使う用品が必要だろ」  あ。  今の今まで、自分が学生なの忘れてた。 「これまでの欠席は病欠あつかいになってる。で、問題が学年だ。桃の本当の年齢は12だろ」 「うん。え、あたし小6に編入するの?」 「だよなぁ。学業面からいっても、身体的な面からいっても、無理がある。そこで特例として事故前の小1を途中から続けることになった」  よかった。  いくら実年齢が12だからって、長年こん睡状態で目が覚めた途端に小6のクラスに入って、じゃきつすぎる。  あたしそんな頭よくないし。 「そのほうがいい」 「だろ。てわけで小1用の買いに行く」 「前に使ってたのはないの?」 「学校によって指定品違うらしいんだ。これリスト。給食袋やランチマットは、蒼太が生地買ってくれば作るって張り切ってる」  お人形の服作るって言ってたくらいだ、手芸得意なのね。  そんなわけで士朗お兄ちゃんの車で買い出しに行った。 ♪キャラプロフ♪ ~太陰~  12天将の中でも重鎮をつけてもらったことに桃は気づいていない。  皆から「おっかさん」と呼ばれていて、実は士朗の母親代わり。訳あってほったらかしにされていた士朗の面倒を見ていた。オムツ替えてもらったこともあるので、士朗も彼女には頭が上がらない。
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