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4 陰陽師の修行は逆ハーレムRPG攻略で(イミフ)
「ただいまー」
「お帰りなさーい」
蒼太お兄ちゃんがひょっこり顔出した。
「あれ、仕事は」
「出張してたのよ。現場から直帰」
保育士なのに出張ってどういうことだろ。
「それより学校どうだった?」
「うん、綺子ちゃんもいるし心強いよ」
「そうね、あの子はしっかり者だものー」
中身子供じゃないもんね。
「ところで、お兄ちゃんたちっていくつなの? 士朗お兄ちゃんはさっき24って聞いた」
「アタシは士朗と同い年よ。翠生は一個下、紅介がさらに一個下」
みんな年近いんだ。
「ん? 蒼太お兄ちゃん、士朗お兄ちゃんの『弟』って言ってなかったっけ」
「誕生日の関係でね。アタシと士朗は従兄弟で、アタシの母親がシングルマザーだったこともあって、生まれた時からこの屋敷にいるのよ。だもんで、双子みたいなもんね」
「そうだったんだ」
「アタシの親はちょっと複雑でねー。父親は会ったこともないわ。母親も生みたくて生んだんじゃないっていつも言ってて、とうとうアタシ置いて出てっちゃったの」
あっはっはーと明るく笑う。
さらっとすごい境遇暴露した!
「え……ちょ、そんな明るく……」
「気にしてないもの。母親は陰陽師なんて家業嫌がってたの。それで抜けたってだけよ。ま、今時そんな職業嫌がるのも分からないでもないしねぇ」
ヒラヒラ手を振る。
「士朗ももう大人なのに、なんでまだ分家の子が同居してるのかって思った? アタシは帰る家がないから。それに、コイツの世話しなきゃならないもの」
夫婦みたいだね。
「お前に世話してもらいたくないんだけどな」
「アタシがしなきゃ誰がするのよ。育ての親代わりの大陰は結局アンタに甘いし」
「育ての親?」
「あ、コイツの両親忙しくてね。アタシもそうだけど、式神たちが育ててくれたのよ」
お金持ちだから忙しかったのか。
「……寂しかった?」
聞けば、二人ともあっさり否定した。
「いや、全然」
「むしろにぎやかだったわよねぇ、式神たちみんないたもの」
全然気にしてないらしい。
「そ、そう……」
「翠生と紅介がうちにいるのは、実家が居心地悪いからだ。実際比良坂家がやってたのは悪徳占い。強要されたとはいえ子供差し出したのを後悔してることもあり、腫れもの扱いされてな」
そんなの、お兄ちゃんたちのせいじゃないのに!
あたしは憤った。
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