4 陰陽師の修行は逆ハーレムRPG攻略で(イミフ)

1/5
前へ
/35ページ
次へ

4 陰陽師の修行は逆ハーレムRPG攻略で(イミフ)

「ただいまー」 「お帰りなさーい」  蒼太お兄ちゃんがひょっこり顔出した。 「あれ、仕事は」 「出張してたのよ。現場から直帰」  保育士なのに出張ってどういうことだろ。 「それより学校どうだった?」 「うん、綺子ちゃんもいるし心強いよ」 「そうね、あの子はしっかり者だものー」  中身子供じゃないもんね。 「ところで、お兄ちゃんたちっていくつなの? 士朗お兄ちゃんはさっき24って聞いた」 「アタシは士朗と同い年よ。翠生は一個下、紅介がさらに一個下」  みんな年近いんだ。 「ん? 蒼太お兄ちゃん、士朗お兄ちゃんの『弟』って言ってなかったっけ」 「誕生日の関係でね。アタシと士朗は従兄弟で、アタシの母親がシングルマザーだったこともあって、生まれた時からこの屋敷にいるのよ。だもんで、双子みたいなもんね」 「そうだったんだ」 「アタシの親はちょっと複雑でねー。父親は会ったこともないわ。母親も生みたくて生んだんじゃないっていつも言ってて、とうとうアタシ置いて出てっちゃったの」  あっはっはーと明るく笑う。  さらっとすごい境遇暴露した! 「え……ちょ、そんな明るく……」 「気にしてないもの。母親は陰陽師なんて家業嫌がってたの。それで抜けたってだけよ。ま、今時そんな職業嫌がるのも分からないでもないしねぇ」  ヒラヒラ手を振る。 「士朗ももう大人なのに、なんでまだ分家の子が同居してるのかって思った? アタシは帰る家がないから。それに、コイツの世話しなきゃならないもの」  夫婦みたいだね。 「お前に世話してもらいたくないんだけどな」 「アタシがしなきゃ誰がするのよ。育ての親代わりの大陰は結局アンタに甘いし」 「育ての親?」 「あ、コイツの両親忙しくてね。アタシもそうだけど、式神たちが育ててくれたのよ」  お金持ちだから忙しかったのか。 「……寂しかった?」  聞けば、二人ともあっさり否定した。 「いや、全然」 「むしろにぎやかだったわよねぇ、式神たちみんないたもの」  全然気にしてないらしい。 「そ、そう……」 「翠生と紅介がうちにいるのは、実家が居心地悪いからだ。実際比良坂家がやってたのは悪徳占い。強要されたとはいえ子供差し出したのを後悔してることもあり、腫れもの扱いされてな」  そんなの、お兄ちゃんたちのせいじゃないのに!  あたしは憤った。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加