16人が本棚に入れています
本棚に追加
「他にも分家から連れてこられた子いたの?」
「いいえ。素質あって年が近いのはアタシらくらいよ」
あたしは首をひねった。
「あたし一人だけ歳離れてるね」
「言っただろ、素質がある子を集めてたって。思ったより少なかったんで、後の方じゃ年齢関係なく囲い込んどくことにしたんだよ」
士朗お兄ちゃんを補佐するための人材。……確かにこの怠惰な兄は複数人で尻叩かなきゃ駄目かも。
「そうそう、桃ちゃん、こいつに仕事しろって言ってやって。アタシらの言うことは聞かなくても、桃ちゃんの言うことなら聞くでしょ」
母親が娘に「お父さんに言ってやって」って感じ。
士朗お兄ちゃんが父親、蒼太お兄ちゃんが母親、あたしが娘か。あながち間違ってないかもしんない。
士朗お兄ちゃんの袖を引っ張った。
「士朗お兄ちゃん、仕事たまってるんでしょ。あたしに術教えてくれるって約束だし、教えついでにやってみせてよ」
「しょうがないなぁ」
娘に甘い父親、じゃなかった兄は快諾した。
「桃の頼みなら嫌とは言えない」
「うん、桃ちゃん、こいつの操縦任せたわ」
任されたくないなぁ。
あ、正直な感想が。
☆
連れてかれたのは昨日も来た何もない部屋だ。 危ないブツを使う際はここでやるらしい。結界張ってあって、周囲に被害が及ばないようにだってさ。
で、渡されたのはゲームのコントローラーだった。
「何これ」
「コントローラー」
「それは分かるよ。なんで修行でコントローラー持たされんのよ」
「これやるから」
掲げられたソフトのタイトルは『王子様ロックオン☆(OH MY OJI)』。
「……………………」
言っていい?
ダっサ!
タイトルだっさ!
つーか、は?! ツッコミどころが多すぎる!
「何このイラストとかテイスト! 腐女子向けか!」
逆ハーレム設定のRPGかい!
「こっちは攻略本な。呪文は昔の文字で、図形も特殊だからこれないときついぞ」
「マジでこのゲームやらせんの?!」
攻略本。分厚くてめちゃくちゃ重いんですけど!
「もちろん。勉強用ソフトだ」
真面目に勉強用ソフト作ってる人に謝れ。
「陰陽師の修行を逆ハーレム設定のRPGでやるとか、聞いたことないわ」
「ちゃんと考えて作ったんだけどな? 紅介とか、勉強嫌いで全然覚えなくてさ。面白……苦肉の策でゲームにしてみたら覚えまくるでやんの」
最初のコメントを投稿しよう!