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今、面白いと思って、って言おうとしたな。
「あいつにやらせたのは男向けで美少女キャラいっぱい出てくるやつな」
「どうでもいいよ。聞きたくないよ」
速やかに脳内から抹消すべき情報だ。
「いや、楽しいほうが頭に入るだろ。勉強だとやる気でなくても、ゲームのためだとすごい記憶力発揮するもんだ、人間なんて。てわけでスタート」
聞く耳持たずにボタン押された。
チャラリラ~♪
軽快な音楽と共に始まった。
初心者に親切な説明多い仕様。用語解説もしっかり入る。
ストーリーはプレイヤーが見習い陰陽師(美少女)になり、メンバー(イケメンぞろい)集めて謎の敵を倒すっていうスタンダードなもの。
最初はほとんど技が使えないがレベルアップすると増え、装備も増やせる。キャラメイクが細かくできて、この作りこみのこだわりは何なんだと問いたい。
呪術も陣もきちんと描かなきゃ発動しないとか、細かいわ。接続したタブレット端末にタッチペンで描くとか。
呪文も一文ずつ、複数選択肢の中から選び、間違えると発動しない。
「ちょ、描いたり呪文唱えてる間も、容赦なく攻撃してくるとか!」
「それが現実だろ。実際は誰も待っちゃくれないぞ」
「そうだけど」
変身中に攻撃しないで待っててくれるのは二次元の中だけだ。
「時間ないー、間に合わない」
「そういう場合は他のメンツに援護頼むか、先にバリア張っとくか、ノータイムで発動できる系アイテムを仕込んどくかだな」
あああやられたぁー。コンティニュー。
「ノータイムで使うって、どうやって」
「持ち物にあらかじめ作っといた呪符入れとくんだよ。ミニゲームで作れる」
「ミニゲームってどこ。攻略本……書いてあるページ見つけるの大変だっつの!」
ぜーはー言いながら、なんとかある程度終わった時には本当にある程度頭に入ってた」
「つ、疲れた……今日はもうこれくらいで……」
「お疲れ。がんばったな。けっこう覚えたろ」
悔しいけどね。でもやっぱ仕様なんとかしてほしい。
「多少知識得たところで、俺が実際使うの見てみるか? そうだな、これ使おう」
掛け軸を広げる。
赤黒い絵の具?で描かれた見返り美人図。江戸時代のものかな。
「……なんか、禍々しい」
嫌なオーラを感じる。
「江戸時代の絵師が自分の血で描いた自画像だそうだ。出来上がった時絶命したってさ」
「うげっ」
うめいてとびのいた。
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