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6 「バナナはおやつに入りますか?」神様たちの大論戦
綺子ちゃんが妖の転移の術で連れてってくれたのは、どっかの広い野原だった。
見渡す限り原っぱ。たくさんの花が咲き誇り、綺麗。空気も清浄な感じ。
そこにピクニックに来てた一団がいた。
なぜか二つに分かれ、もめてるっぽい。
あれがそうかな?
紅介お兄ちゃんとはまた異なるスポーツマン風の青年が叫んだ。
「だーかーら、なんで分からねーんだよ」
けっこうなイケメンだ。Tシャツ+ジーンズ+サンダルとラフすぎる格好でもかっこいいって、イケメンは得ですな。
もう一方のグループの先頭に立つ女性にくってかかってる。
女性のほうも負けてはおらず、腕組みして仁王立ち。こっちも美女。正統派の大和撫子タイプだ。長い黒髪を下ろし、清楚系白ワンピが似合う。
「分かってないのはお前のほうでしょ」
「堅物だなー、姉貴は」
「お前がいい加減すぎるのよ、愚弟」
どうやら二人は姉弟らしい。どうりでなんだか似てるし、やりとりに遠慮がないと。
「……姉弟ゲンカ?」
あたしは小声で綺子ちゃんに聞いた。
「まぁ根本的にはね。ただ二人ともそれなりに強い神なんで、部下もあわせてこんなことに。陽気がいいからピクニックに来てたらしいんだけどね」
神?
驚いて、
「神様なの?!」
「日本には八百万の神々がいるでしょ」
「ああうん、まぁ」
人間じゃないのは分かってたけど、まさか神様とは。
ていうか、神様皆でピクニックですか。のんびりゆったりいいですね~。
「ケンカの原因は何なの?」
「それは……」
綺子ちゃんがあきれながら説明しようとした時、男の神様が叫んだ。
「バナナはおやつには入らねえ! デザートだ!」
女の神様も言い返す。
「入ります!」
…………。
…………。
…………。
「……ん?」
聞き間違いかな?
首をひねった。
「いーや、果物なんだからデザートだ。よって、おやつ代には含めねえ。その分持ってっていいはずだ!」
「おやつに果物食べることもあるでしょうが。その分入れておやつ代300円よ」
「それから税抜き300円!」
「税込みに決まってるでしょ!」
「断固税抜き、バナナはデザート! おやつ増枠!」
「税込み、バナナはおやつに入れて計算しなさい。お菓子ばっか食べるんじゃない!」
…………。
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