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「まぁね。でも比良坂士朗はいいのよ。ほら、さっさと仲裁してきな」
「言われなくてもやるって」
めんどくさいとぼやきながらも、士朗お兄ちゃんは歩いて行った。
「はい、そこまでー」
二人の間に割って入る。
と、神様たちは怒るどころか慌てた顔した。
「あ、士朗」
バツが悪そう。
あれ、神様がこんな反応するなんて。実は士朗お兄ちゃんてすごい人?
……ないな。
普段のぐうたらぶりから速攻予想を否定した。
「めんどくさいことやってるな。まったく。よし、こうしよう。おやつ代として全員一律300円徴収。俺がまとめて全員同じの買ってきて配る。それ以外は認めない。いいな?」
「はあ? 自分の好きなもん持ってきたい」
「そうよ。それに、士朗の手間が大変でしょ。だから」
「ならいっそ、おやつナシな」
「それは嫌!」
全会一致の異口同音。家臣団まで賛同した。
かみさまー。
士朗お兄ちゃんは頭をかき、
「だろ。てわけで、決定な」
「待てよ、そん―――」
「そうよ、なら―――」
言いかけて、二人とも尻切れトンボになった。
士朗お兄ちゃんが黙ってじっと見てたからだ。
視線だけで神様黙らせられるって。士朗お兄ちゃんって一体……。
そこでふと、彼らはあたしや綺子ちゃんに気付いたらしい。慌ててその条件で承知した。
ああ、警察長官の綺子ちゃんがいたからね。
神様のほうが立場上だと思うけど、警察がいるからここで終わりにしとこうって感じ?
お互い引くに引けない状況になってたけど、一目置く存在が出てくれば終われるきっかけになる。
「ごめんねー、びっくりしたでしょう」
「恐かったか? 悪かったな。ほら、たんと食え」
お詫びなのか、みんなあたしにお菓子くれた。小さい子の前で大人げないケンカごめんね~ってさ。
もらった紙袋いっぱいに。ご利益はものすごくありそうだ。
「これどうしよ」
「食べていいぞ。お供物だ」
「お供物になるのこれ」
よく見る市販品けっこうあるな。神様たちも普通に買って食べてるのね。
「士朗お兄ちゃんってすごいね」
「別に。あの二人はたまにケンカするんだよ。もう一人の弟は逃げたな、さては」
「あの神様たち誰なの?」
「アマテラスとスサノオ」
……へ?
目が点になった。
今なんて言いました?
「……冗談だよね?」
「冗談じゃなくてマジ」
はいいいい?!
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