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「金あるのは確かだぞ。だから桃は心配しなくていいからな。入院費なんか余裕だったし。ぶっちゃけ桃が一生遊んで暮らせるだけのたくわえはある」
「そうよ。アタシたちだって稼いでるし、平気で養ってけるわ」
「……はあ」
いやいやいやいや、スケール違いすぎてついてけない。
だって、まず家ってあそこに見える一番大きな建物だよね。他にも小さいのがいくつかあるけど、あれは離れとかそういうのでしょ。
めちゃくちゃ横幅ある。しかも、一階建てでその広さだ。ほんとにどこの大名屋敷か。
さらに、どっから現れたのか、大勢の人がずらっと玄関まで並んでる。
「お帰りなさいませ!」
何コレ何このベタな展開。
使用人ってこと?
服装は洋装じゃなくて和装だ。このほうが屋敷には合う。ていうか数十人はいるよね。
唖然としてたら、また士朗お兄ちゃんに片手で抱え上げられた。
「わっ」
「行くぞ」
「え、えっ?」
当然のように屋敷の中へ連れてかれた。蒼太お兄ちゃんたちも気にしてない。
え、こんな対応普通なの?
あたしもこういうお嬢様あつかいされてたわけ? 絶対感覚おかしかったな。
うん、おかしいって気づけた点では記憶なくしてよかったかもしれない。浮世離れしすぎ。
中もめちゃくちゃ長い廊下が続いてた。迷路みたい。
「な、中も広っ。道分かんない! もう玄関まで戻る行き方も分かんないよ」
「あー、そうね。まぁ、わざと迷いやすい作りになってるんだけど」
「なんで? 住むのに困るじゃん」
「防犯上の理由ですよ」
金持ちだから? それなら外の警備を強化してほしい。
「迷う……地図ほしい」
「あはは、描いてやるわけにはいかねーな。しばらくは誰かと一緒に行動するんだな。部屋にある呼び鈴鳴らせば、誰か来るさ」
やっぱり常識がおかしい。
あっちを曲がり、こっちを曲がり。私の部屋に到着した。
障子を開けると、そこは見るからに女の子の部屋だった。
ピンクで統一された室内。
床には高そうなカーペットがしかれ、そこかしこにぬいぐるみやファンシーなもの。小学生用学習机もピンクで、椅子にはフリフリクッション。トドメが「姫か!」とツッコミたくなる天蓋付きベッド。
「うっわ……」
思わずうめいた。
「少女趣味すぎ……。あたしこんな趣味してたんだ」
「やりすぎだったんじゃね?」
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