1 12才だけどワケあり6才+記憶喪失=イケメン変人義兄4人

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 紅介お兄ちゃんが蒼太お兄ちゃんを肘でつつく。 「あらー? かわいいじゃない。これでも抑えたのよ?」  ……?  会話がおかしい。  室内を一回りしてみたら、もう一つおかしな点に気付いた。  どれも新しいんだ。  六年間使ってなかったら、ホコリが積もっててもおかしくない。掃除くらいさすがにさせてたとしても、あきらかに新品ばかりだ。  ……それに、この部屋。この屋敷。  記憶はなくても断言できた。  あたしはここに来たことはない。  だいいち、考えてもみてよ。六年間眠ってた? 鏡で見たあたしは確実に十歳いってない。小学校低学年だ。 てことは、最高でも二歳かそこらでこん睡状態になったはず。  なのになぜこんなしゃべれるし、難しいこと考えられるの……? 「―――」  体中の血が冷えるのを感じた。ゆっくり振り返る。  ずっと感じていた違和感の正体。  この人たちはあたしの兄なんかじゃない。  拳を握りしめ、彼らを見上げた。 「あなたたち―――誰? あたしはここに住んでたことはない。妹でもない。そうよね?」  四人の顔が強張った。  やっぱり間違ってなかった。 「……記憶が戻ったのか?」  あたしは首を横に振る。 「ううん。でも分かる」 「そうか……」  士朗お兄ちゃんは安心したように、けどどこか残念そうに息を吐いた。  蒼太お兄ちゃんが聞く。 「どうするの?」 「言うしかないだろ」 「正気ですか」 「いいのかよ」 「……俺に任せろ」  士朗お兄ちゃんは―――便宜上まだそう呼ぶことにする―――近づき、腰を下ろして目線を合わせた。  あたしは逃げずに黙っていた。  こんな時でもなお、この人は信頼できるという確信があった。 「嘘ついて悪かった。混乱してるお前をこれ以上パニクらせないためだったんだ。本当のことを知りたいなら教えてやる」 「……知りたい」  明確に解凍すれば、士朗お兄ちゃんは一度目を閉じ、再び開けて話し出した。 「桃の言う通り、俺たちは兄妹じゃなかった。というか、これからそうなるはずだったんだ」 「これから?」 「比良坂の家系は特殊で、跡取りを支えるため、分家から優秀な子を集めて一緒に育ててた。親元から離し、小さい頃から英才教育を施し、後継者の助けになるために」  じゃ、あたしは。 「あたしもその一人?」 「そうだ」 「士朗お兄ちゃんたちも?」
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