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「あ!そういえば、友達なんですけど、結構ヤバい子で、何回か事故現場に遭遇してるんですって!」
「へえ、災難だね」
「私が遭遇したのは、その中の一回だけです!その時もその友達がいて、その子は写メまで撮ってて」
「もちろん、救急車とかには連絡したんでしょ?」
「それが、怖くて逃げちゃったんですよね。ほら、他にも人いたし。その人たちが連絡するかなーと思って」
「その時は別の病院だったんだよね」
「はい。その後すぐ今のところに。看護士としてダメだってことはわかってるんですけど・・・」
しゅん、としてしまった愛に対し、みおあさは食後に甘い物でも食べようと進める。
美味しそうなイチゴのパフェが運ばれてくると、愛は嬉しそうに手を頬に添えて喜び、みおあさに見つめられながら食した。
「ありがとうございます!!御馳走になっちゃって」
「いや、いいんだよ。遅いから車で送って行くよ」
「わー!いいんですか!?」
「うん、いいよ」
車に乗って愛の家まで運転していると、途中、何処かの駐車場に車を停めてみおあさが車から下りた。
夜景でも見ようと言われ、愛は外に出る。
みおあさは、持ち歩いているのか、水筒を車から出して愛に呑み口を渡した。
「コーヒーだよ、良かったら飲んで」
「ありがとうございます」
そう言うと、注がれたアイスコーヒーをぐいっと飲み干す。
「美味しい!」
「良かったらもう一杯どうぞ」
3杯ほど飲んだ愛は、よろっと足をもたつかせる。
「大丈夫かい?」
「は、はい・・・」
みおあさは愛をお姫様抱っこすると、数段の木の階段をあがった先にあるベンチに横たわらせた。
水筒の周りをハンカチで綺麗に拭いた後、愛の手にギュッと握らせ、それをベンチに横たわっている愛の横に置いた。
地面に少しだけ、そのアイスコーヒーをこぼして。
「看護士であること以前に、人として君は白衣を着るべきではないよ」
真っ暗なそこには、蛾が群がりそうな灯りさえなく、蠢く影はひとつのみ。
愛のスマホが数回光るが、すぐに切れる。
みおあさは車に戻るとエンジンをかけ、その場から離れて行く。
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