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「きゃー!!!ふるやくーーん!!はるとしくーーーん!!!!こっち見てーー!!」
潮室かえでは、新人俳優のふるやはるとしの大ファンである。
だからこうして、今日も彼が出演するというドラマの現場に来ている。
声援が聞こえてくると、ふるやはこちらを見てにこやかに笑い、さらには手も振ってくれるというファンサービス。
「ふるやくんってなんであんなに素敵なんだろう!!彼女いないよね!?」
「はるとしくん格好良いーー!!もっとこっち見てー!!サインお願い!!」
撮影が終われば、ふるやは女性たちのもとへと向かい、時間が許す限り1人1人にサインをし、写真を撮り、握手もする。
かえでも必死になってふるやにアピールすると、ふるやがこちらを見てニコリと笑ったような気がした。
その場に居た誰しもが、自分を見て微笑んだのだと言っていたが、それはかえでも同じことだった。
「きゃー!ふるやくんと目が合っちゃった!嬉しい!!」
ルンルン気分でコンビニに向かい買い物を終えて出たところで、フードを被った男とぶつかってしまった。
「すみません!」
そう言って謝り顔をあげると、そこにいたのはあの大好きな大好きな、ふるやはるとしだったのだ。
かえでは驚きのあまり、口をパクパクさせてしまった。
「ごめんね、大丈夫?」
「だ、大丈夫、です」
ふるやはかえでにお詫びがしたいと、飲み物を買って渡した。
「あの!は、俳優のふるやはるとしさんですよね!?私、大ファンなんです!あの、良かったら一緒に写真撮ってもらっても良いですか!?」
「ええ、もちろん。いつも応援してくれてありがとう」
天にも昇る気持で写メを撮り、公園のベンチで隣に座って飲み物を飲む。
それからというもの、隠れてふるやとかえでは頻繁に会うようになった。
まるで恋人のようでかえでは嬉しかった。
ふるやの車で落ち合う事が多くなると、本当に彼女になったのかと思ってしまうほど。
「はるとしって呼んだら、どんな顔するかなー?」
フフフ、と笑っていると、公衆電話から電話がかかってくる。
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