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ふるやからだと分かり電話に出ると、今日の夜会おうという内容のものだった。
ふるやの車が修理に出ているため、かえでが車を出すことにした。
嬉しくてお洒落をしていこうと、かえではお気に入りのワンピースを着て、メイクもばっちりして出かける準備をする。
「お待たせしました」
「自分から会おうって言っておいて、車を出させてしまってすみません」
「いいんですよ。気にしないでください」
ふるやと待ち合わせをしていた場所に迎えに行くと、適当な場所に車を停める。
時折車が通るが、それほど多くは無い。
「かえでちゃん、この前面白い画像見せてくれたけど、あれっていつ頃のものなの?」
「え?ああ、あれですか?確か、去年か一昨年のですね。その前にも同じような現場に遭遇して、その時も撮ったんですよ。見ます?」
そう言うと、かえでは得意気にスマホの画像を見せる。
「この前見せた事故の時は友達も一緒だったんですけど、この時は1人だったんですよ。すごい事故だなーとは思ったんですけど、誰かが電話かけてたし、大丈夫かと思って」
「この前のも見ていい?」
「ええ、どうぞ。ふるやさんって、こういう画像見るんですか?」
「そういうわけじゃないよ。ただ、俳優としてこういうことも知っておいた方が良いかと思ってね」
「なるほど!!さすがですね!!」
じっとその画像を見ていると、かえでがまた口を開く。
「その友達看護士なんですけど、今の病院のお医者さんで良い人がいるって!その、結婚とかも考えてるって言ってました」
「へえ、そうなんですか」
「あの、私達って、その・・・つ、付き合ってるんですか?ね?」
もぞもぞしながらふるやに尋ねてみると、かえでのスマホを綺麗に拭いてから持ち主に返した。
それからかえでの方にぐいっと近づくと、がたん、と運転席を倒す。
「ふ、ふるやさん・・・」
顔を近づけてくるふるやに、かえでは頭がパンクしそうだった。
徐々にふるやの顔が迫ってきて、かえでは思わずきゅっと目を瞑り、唇に温かい感触が訪れるのを待つ。
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