太陽の上に立つ

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 肌寒い日が続いている。  厚手のコートはまだいらないにしても、上着は必需品となってきた。  「めぐみ、スクープはどうなった?記事は出来てるんだろうな?」  「今終わったところです。見てください」  中途採用で記者となっためぐみは、ボランティア活動にも参加するなど、社会との交流を積極的に行う男である。  人当たりも良く、入社して間もないというのにスクープまでゲットしたため、将来有望と言われている。  そんなめぐみには、ボランティアで出会った知り合いがいる。  彼は警察官らしいのだが、こういった活動にも出ているためか、地域の人からは絶大な信頼を得ているようだ。  めぐみの次の休みの日にも、ボランティアに参加していると、彼に会った。  「水本さん、今日も精が出ますね」  「りょうじゃないか。お前こそ、まだ若いのに立派なもんだ」  「水本さんのような方がいてくださるお陰ですよ」  彼は水本政信と言って、めぐみのことをファーストネームで呼ぶ。  それほどまでに2人の仲はとても親密だ。  そんなある日、2人は一緒に飲みに行こうという話になった。  「水本さん、警察官なんて大変じゃないですか?確か、娘さんは以前、検視の助手をしていたとか」  「そうなんだよ。ようやく結婚してな」  「じゃあ、お嫁に行ってしまったんですか?寂しいですね」  「いや、婿養子を取ったんだよ。私たち夫婦の間には男が生まれなかったからね。りょうと同じ仕事をしていると言っていたな」  「記者なんですか?」  「ああ」  酒が進むと、水本はさらに気持ちを良くして話を進めていく。  めぐみはおつまみを時折頼み、水本の話を頷きながら聞いていた。  「若い奴が酒に呑まれて道で暴れていたのを叱ったり、一人暮らしの男が自殺した現場にも出くわしたことがあるなぁ」  「一々突っかかってくる奴もいるんじゃないですか?ほら、警察とか公務員とか、税金から給料が支払われてる仕事の人は、そういうこと言われるでしょう」  「そうなんだよ」  「でも、自殺に出くわすなんて、気持ち悪くなったりしないんですか?」
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