太陽の上に立つ

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 「そんなことで毎回気持ち悪がってたら、こんな仕事出来ないね。一課にいた当時、一緒にその遺体を見つけた俺より幾つか下の男がいたんだけどな、そいつはまだそういう現場の経験が足りなくて。他殺の可能性もあるとかなんとか喚いてたけど、結局、検視官にみてもらったら、自殺ってことで片付いたんだよ」  「新聞にも載りました?ニュースとかは?」  「どうだったかな?正直、その時のことはなあ・・・。自殺した馬鹿な奴がいるって、そう思っただけだからなぁ」  「そうですよね。全員覚えていられませんよね」  そう言いながら、めぐみは水本のジョッキのビールが減っていることに気付き、新しいジョッキを頼む。  新しいジョッキが来ると、水本はそれをまた美味しそうにごくごく飲んで行く。  去年、腰を痛めてしまった水本は、捜査一課を離脱し、交番勤務を願い出た。  地域に密着したいという理由だそうだ。  その後も、2人は楽しそうに話をしていた。  それから数日後。  水本はいつものように交番にいた。  それほど繁華街でもないこの場所では、そうそう事件という事件もないため、日がな一日を過ごしていた。  水本が、隣の警官に此処を任せて休憩がてら昼飯でも食べようかと奥に入ろうとしたのだが、その時無線で、近くで迷子が泣いているという電話が入った。  「水本さん、俺行ってきます」  「頼む。ここは俺が待機してるよ」  もう1人の警官は通勤途中に気持ち悪くなってしまったため、遅れてくるということで、今ここには水本しかいない。  子供のもとへ行った同僚が戻ってくるまで待っていようと座ったとき、声をかけられた。  「水本さん、お疲れ様です」  「りょうじゃないか!どうしたんだ!」  仕事の途中なのか、めぐみがお菓子の袋を持ってやってきた。  水本はめぐみに近づき、手渡されたそのお菓子を受け取って雑談でもしようかと思ったその時・・・。  腰にあった、弾の入った銃がめぐみの手にあった。  「りょう、それは玩具じゃないんだぞ」  「わかってますよ。水本さん」  自分のこめかみに銃口を当てられた状態で、冗談は止めろとめぐみに言っていた水本だが、その頭からは血飛沫が飛び散る。  めぐみは銃を水本の手に握らせるようにすると、手土産のお菓子を持ってその場から離れて行った。  のどかな、晴れた日のことだった。
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