太陽の上に立つ

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 俺には、弟がいた。  弟はとても良い奴で、誰に対しても優しい奴だった。  他人とは一線置くところがあるが、それを差し引いたとしても、愛想が良いため、女性から好かれることも少なくは無かった。  そんな弟が、ある日死んだ。  悲しくて、辛くて、なんで死んだのかさえ分からないまま骨になった。  弟が、俺に何も言わずに勝手に死ぬはずがないと、警察に何度も話したにも関わらず、事件性はないとされたと、ただそれだけを繰り返された。  どうして事件性がないと断言できるのか聞いてみると、いち早く駆け付けた警察官が、不審な人を見なかったと証言したらしい。  事故だと思われたが、フラフラ歩いて道路に出る弟が目撃されたと言われた。  俺は、警察という組織に期待することを諦めた。  あいつは最期まで気付かなかっただろう。  だがどうでも良いことだ。  俺はやり遂げたのだから。  『速報です。今日12時48分ごろ、交番内で自殺したと思われる警察官の男性の遺体が見つかりました』
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