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優介は、必死に抵抗を試みる。
だが、どうにも身体から力が抜けているように上手く動かない。
気のせいだろうか、フラフラしてきた。
「辛い?死ぬのは嫌?」
「んんん!!!」
「あなたに見捨てられた人は、きっと沢山いるんでしょうね。その人たちのためにも、あなたはここで死ぬ方が世の為ね」
肌に何か冷たいものが当てられると、聞こえてくる音の回数が増える。
「もっと傷口大きくしておいたから。これでもっと早く死ねる。もう半分も溜まっちゃった。愉しみね」
「んんんんんんん!!」
それからしばらくすると、優介は動かなくなってしまった。
目隠しを取り、脈を確認し、ただ椅子に座っているだけの状態にする。
「こういうの、なんていうんだっけ。ま、いいか。水垂らしただけで死ぬなんて、無様ね」
私には、結婚を考えていた彼がいた。
その彼が、ある日死んでしまった。
理由なんて、分からない。
彼の学生時代の写真に写っていた、所属していたサークルの人たち。
その中の1人に出会って、口説かれた。
今はもういない彼のために、私はその人と結婚して、この日を待っていた。
素敵な記念日になったでしょ?
これでもう、貴方に傷付けられる人はいないんだから、それこそ何よりの免罪符、でしょ?
『続いてのニュースです。昨日、男性の遺体が発見されました。帰宅した妻が見つけたもので、男性の身体には外傷もなく、ショック死と思われております』
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