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私の頬をぬるい風が撫ぜた。
運転席の窓ガラスは割れている。
そして、隣には全裸で気を失っている真理子が横たわっている。
夢じゃなかったんだ。
「大丈夫か?」
私は、真理子の肩を揺さぶった。
すると、真理子はゆっくりと目をあけた。
「良かった。無事だったのか。」
私は、心から彼女が無事だったことを喜んだ。
もうこんな目に遭わされた恨みなど、吹き飛んでいた。
彼女は嗚咽して私にしがみついて泣いた。
私は、車の中で、彼女の髪の毛を撫で続けた。
私は、真理子に自分のコートを着せて、その車を離れた。
こんなところで職務質問にあったら厄介だ。
私達がなぜ、助かったかはわからない。
真理子が言うには、アザトースの怒りのエネルギーにより、次元の外にはじき出されてしまったのではないかということだった。恐らく、あの村は全滅してしまったのだろう。
真理子にもう帰る場所はない。
私は、その夜、真理子を抱いた。
きっと、これは運命だったのだ。
しばらくして、真理子が妊娠した。
私は、この年になって、子供を設けることができるなど思ってもみなかったので嬉しかった。
一生、結婚しないだろうと思っていたが真理子の妊娠を機に結婚した。
そして、私は今、真理子の出産に立ち会っている。
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