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「お父さん、もう少しで出てきますよ。お母さん、頑張ってね。」
苦しそうな真理子の背中をさすってやる。
「がんばれ、真理子。もう少しだぞ。」
「んんんんっ、うぐぅぅうぅぅぅーーーーひぎゃあああああああ!」
真理子の絶叫とともに、医師も何故か驚き、絶叫した。
「ぎゃああああ、何だこれは!」
医師の叫びに、私は思わず、真理子の足の間を見た。
そこからメリメリと音を立てて、真っ黒な頭と触覚が、真理子の肉を裂いて這い出していた。
私はあの恐怖を再び思い出していた。あの異形だ。
真理子の肉を裂き、血まみれの黒い塊から、鋭いあごが飛び出して、医師の喉下に喰らいついた。
医師の首からはおびただしい血が、噴出し、私の顔を濡らした。
「わあああああああ!」
真理子は完全に白目を剥いて、意識が無い。
慌てて外に出ようと振り向くと、私の喉元に熱い何かが突き刺さった。
そこには、看護士が立っていた。
看護士の口は耳元まで裂け、中から黒く鋭い顎が飛び出し、私の喉を切り裂いていた。
その看護士の胸の名札には「上シャン」の文字が。
遠ざかる意識の中、生まれた異形に食われる真理子の姿を見た。
真理子、すまない。
君を護ってやることができなかった。
きっともうこの世界は終わるのだろう。
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