5人が本棚に入れています
本棚に追加
今年は、作物が不作だったのか。それとも、休耕田ならぬ、休耕畑?
そんなことを思いながら、窓の外を見ていると、大きな古民家の前で車が止まった。
「ここが私の家です。宿泊施設が無いので、古くてむさくるしいところですが、こちらでご宿泊ください。」
彼女が家の中へ入るように促した。
「お世話になります。」
私が挨拶をすると、中から老夫婦が相好を崩して出迎えてくれた。
「こんな田舎によくおいでくださいました。さあ、あがってあがって。」
両親とも、彼女によく似た、黒目がちで、日本人離れした顔立ちだった。
やはり外国人なのかもしれない。
何もありませんがと、お茶とお茶うけの菓子でもてなされて、少し休んだあとに、件の隕石を見せてもらった。
隕石というと、大気圏を突入するさいに、真っ黒に焼けたような石を想像していたが、この石は、緑色のような、玉虫色のような、不思議な色の隕石だった。ただ、エメラルドのような輝きはなく、鈍く光っていた。
「知り合いに、こういう隕石を研究しているヤツがいるんです。よろしければ、これを一つ、お譲り願えないでしょうか?」
そう申し出ると、快く承諾してくれた。
最初のコメントを投稿しよう!