①上の村

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今年は、作物が不作だったのか。それとも、休耕田ならぬ、休耕畑?  そんなことを思いながら、窓の外を見ていると、大きな古民家の前で車が止まった。 「ここが私の家です。宿泊施設が無いので、古くてむさくるしいところですが、こちらでご宿泊ください。」 彼女が家の中へ入るように促した。 「お世話になります。」 私が挨拶をすると、中から老夫婦が相好を崩して出迎えてくれた。 「こんな田舎によくおいでくださいました。さあ、あがってあがって。」 両親とも、彼女によく似た、黒目がちで、日本人離れした顔立ちだった。 やはり外国人なのかもしれない。 何もありませんがと、お茶とお茶うけの菓子でもてなされて、少し休んだあとに、件の隕石を見せてもらった。 隕石というと、大気圏を突入するさいに、真っ黒に焼けたような石を想像していたが、この石は、緑色のような、玉虫色のような、不思議な色の隕石だった。ただ、エメラルドのような輝きはなく、鈍く光っていた。 「知り合いに、こういう隕石を研究しているヤツがいるんです。よろしければ、これを一つ、お譲り願えないでしょうか?」 そう申し出ると、快く承諾してくれた。     
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