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私が聞き返すと、彼女は一瞬間を置き、静かに話し始めた。
「私達一族が、こんな山の中へと追いやられたのも、私達の信仰が原因なのです。」
彼女が悲しそうな顔でうつむいた。
「私達、シャン一族が信仰しているのは、邪神信仰なのです。」
「邪神・・・ですか?」
「そう、邪神です。人にとっては、邪神ですが、私達の信仰は宇宙にあるのです。
外なる大いなる神を信仰し、畏れ、あがめています。大いなる宇宙の神により、
私達は死んだら、時空を超えた世界へと旅立つことが出来ると信じているのです。」
私は、思わず黙り込んでしまった。この娘はヤバイのかもしれない。
「頭がおかしい、って思いますよね。」
彼女が全てを見透かしたような悲しみに満ちた瞳で私を見つめる。
「当然、先生だけじゃなく、周りの人も同じ気持ちだったと思います。
人は、自分の思いも寄らない思想を示されれば、誰だって気持ち悪いって思いますよね。」
「そ、そんなことは・・・。」
私は情けないことに二の句が継げなかった。
「本当はね、私、嘘をついています。」
「嘘?」
「先生に私、隕石のことで取材に来て欲しいと言いましたが、あれ、嘘なんです。」
「と、言うと?」
「実は、本当に先生に書いて欲しいことは、私達の一族のことです。
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