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「ここは、シャンの神殿です。この奥にご神体があります。」
先ほどまで、あれほど帰りたいと思っていた私だが、この神秘的な洞窟にすっかり魅了されていた。
ご神体という言葉にも興味を示した。
「ご神体?」
「ええ。この奥に、ザーダ=ホーグラ像が祭られています。私達、宇宙の外なる神、アザトースの化身です。」
「アザトース?」
「ええ、全ての始まりであり、全てを終わらせる存在。」
私はこのあたりで、新興宗教を疑った。
どこかの新興宗教で、そういった思想を聞いたことがある。
一旦世界は終わり、その宗教を信仰するものだけが、輪廻転生して世界を造るというものだ。
これはヤバイことになってきた。この娘がいくら可愛いからといって、こんなイカれた宗教に勧誘されるのはまっぴらだ。
「新興宗教の誘いなの?それならお断りだ。悪いけど、私はそんなものには興味が無い。」
私が冷たく言い放つと、真理子はとても悲しそうな顔で私を見て、首を横に振った。
「着きました。」
いつの間にか私達は、洞窟の一番奥にたどり着いていた。
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