①上の村

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「ここは、シャンの神殿です。この奥にご神体があります。」 先ほどまで、あれほど帰りたいと思っていた私だが、この神秘的な洞窟にすっかり魅了されていた。 ご神体という言葉にも興味を示した。 「ご神体?」 「ええ。この奥に、ザーダ=ホーグラ像が祭られています。私達、宇宙の外なる神、アザトースの化身です。」 「アザトース?」 「ええ、全ての始まりであり、全てを終わらせる存在。」 私はこのあたりで、新興宗教を疑った。 どこかの新興宗教で、そういった思想を聞いたことがある。 一旦世界は終わり、その宗教を信仰するものだけが、輪廻転生して世界を造るというものだ。 これはヤバイことになってきた。この娘がいくら可愛いからといって、こんなイカれた宗教に勧誘されるのはまっぴらだ。 「新興宗教の誘いなの?それならお断りだ。悪いけど、私はそんなものには興味が無い。」 私が冷たく言い放つと、真理子はとても悲しそうな顔で私を見て、首を横に振った。 「着きました。」 いつの間にか私達は、洞窟の一番奥にたどり着いていた。     
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