逢う魔時

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昼下がり、リビングの窓から東京の街並みを眺める。色も形も違う、雑多なビルの群れ。遠くに見える近未来的なデザインのタワー。パリやリヨンの歴史地区のように統一感のある街並みは文句なしに美しいと思うが、新旧のさまざまなデザインが一緒くたになった東京の街並みも、躍動感があって好きだった。でも今は、何もかもが色あせて見える。救急車のサイレンが、耳の奥にいつまでも残った。 「力弥さん、俺のこと見て。」 「う、うんっ…気持ち、いいっ!ふじぃ、ここ、いっぱい、ぐちゅぐちゅ言ってる…。」 そう言いながら力弥は自ら陰嚢を軽く持ち上げ、てらてらと光る藤虎の雄芯とそれを食むようにまとわりつく媚肉を藤虎に見せつけた。 「あああ、ふじぃ、中で、おっきくなったぁ…。ああ、ああ…」 花筒の奥を何度もノックされ、体中の筋肉が解けていく。だらしなく開いた口元は、深い口づけと零れる涎のせいでべとべとに濡れたままだ。起きている間は、こうして交わっているときだけ、何もかも忘れられた。頭をからっぽにして、体中を走る甘やかな痺れに身を委ねるだけでよかった。
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