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しかし、力弥を家に閉じこめたまま、かれこれ二カ月近くが経とうとしている。藤虎は悩みに悩んで、力弥のスマホにGPS機能が付いた追跡用のアプリをインストールさせることを条件に外出を認めることにした。このアプリがあれば、力弥がどこへ行っても追うことができる。
「えっと…これって小さい子に持たせたりするやつ?」
「まあね。力弥がスマホを持って家を出たら、俺の方に「家を出発しました」とか連絡が来るんだって。で、どこを歩いているかが分かるようになってる。あと、スマホを盗まれた時も無理やりロックを解除しようとすると写真撮られるようになってるから。」
「うん、わかった。でも、藤虎が仕事している間に連絡来ても、どうせ見られないよ?」
「いいの。俺が安心できれば。それよりさ、土曜日に会う奴って高校の同級生?」
藤虎に聞かれ、力弥は微かに表情を曇らせる。親友の養子縁組を祝う食事会に行ったときも盛大にやきもちを焼かれ、前夜に腰が立たなくなるほど抱きつぶされたことを思い出したのだ。あまり楽しそうに話をすると、どこで地雷を踏んでしまうか分からない。力弥は慎重に言葉を選びながら、最低限の情報だけ伝えることにした。
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