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どうしたものか。
悶々としながらいつものように自宅に向かい、酒とツマミを準備する。そうだ、ここは一気に距離を縮めてエロい雰囲気に持っていこう。我ながらいいアイデアだ、とニヤつきながら、二人掛けのソファに座った力弥の横に腰を下ろす。
「ど、どしたの?藤虎。近くない?」
「いや、力弥さんの前に置いた生ハムが食べたくて。それ、取って?」
「僕に取らせるんだったら、わざわざ隣に座る必要ないよね?」
ぶつぶつ言いながら、それでも生ハムをグリッシーニにくるくると巻き付ける。
「はい、どうぞ。」
「あーん。」
「プっ。行儀が悪いなぁ。ま、いいか。ほい。」
無造作に口の中に突っ込もうとする力弥の手をさっとつかむと、グリッシーニの先端を唇で挟み、ゆっくりと扱くように動かした。これが何を意味しているのか、鈍感そうな力弥もさすがに察したようだ。ボンっ、と音がしそうなほど、一気に真っ赤になる。
(力弥さん、ウブだなー。あと一押し。)
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