松風

新たな出会い

力弥は藤虎のことをどう思っているのだろうか。両想いになる可能性は、あるのだろうか。

（ない。ないな。少なくとも、今のままじゃ、ない。）

どう考えても、自分は可愛い後輩か、気の合う同業者止まりだ。べたべたと迫れば、今日のように嫌がられることははっきりしている。かといって、それ以外の方法を藤虎は知らない。来る者は拒まず、去る者は追わず。結局、自分に気のある女ばかりを相手にしてきたから、稚拙なテクニックでも簡単に落ちたのだ。高嶺の花に片想いして、追いかけるなどしたことがない。

力弥のあの冷たい眼差しを思い出すと、いろいろな意味で身震いがする。またあんな目で見られたい…今度、怒らせてしまったら、もう遊びに行くこともできなくなるだろう。なら…この想いは打ち明けずに、仲の良い先輩、後輩のままでいよう。いつまでも、行けるところまで。