零れる想い

6/14
248人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
「フジ、リッキーはだめだ。俺が許さん。」 「なんでジャンの許可がいるんだよ。」 「なんでもへったくれもねえ。いいか、リッキーはな、一生懸命で、一途で、純粋な奴なんだ。お前が遊びでひっかけていい相手じゃねえ。」 「そんな軽い気持ちじゃねえよ。俺、二年も片想いしてんだから。」 「ねえ、ジャン」エミールが隣に話しかける。「リッキーは確かに勤勉だし、一途だけど、こっちであれだけ苦労して、修行をやり遂げたんだ。料理人としてだけでなく、男としても一人前だと俺は思うよ?だから、色恋の判断はちゃんと自分でできるんじゃない?」 「プライベートではあんなにほわほわしてんのに?」 「「確かに!」」日本とフランスで二人が同時に声を上げた。 「フジ。力弥はこっちにいる時は、仕事一筋だったよ。早く一人前になりたい、って言ってたからね。すごく努力してた。最後の一年は、パリで修業してたから詳しく知らないけど…でも、いろいろな環境で腕を磨きたいと思ったから、あっちに行ったんだ。パリにいる間も、ストイックに頑張ってたんだと思うよ。」
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!