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「フジ、リッキーはだめだ。俺が許さん。」
「なんでジャンの許可がいるんだよ。」
「なんでもへったくれもねえ。いいか、リッキーはな、一生懸命で、一途で、純粋な奴なんだ。お前が遊びでひっかけていい相手じゃねえ。」
「そんな軽い気持ちじゃねえよ。俺、二年も片想いしてんだから。」
「ねえ、ジャン」エミールが隣に話しかける。「リッキーは確かに勤勉だし、一途だけど、こっちであれだけ苦労して、修行をやり遂げたんだ。料理人としてだけでなく、男としても一人前だと俺は思うよ?だから、色恋の判断はちゃんと自分でできるんじゃない?」
「プライベートではあんなにほわほわしてんのに?」
「「確かに!」」日本とフランスで二人が同時に声を上げた。
「フジ。力弥はこっちにいる時は、仕事一筋だったよ。早く一人前になりたい、って言ってたからね。すごく努力してた。最後の一年は、パリで修業してたから詳しく知らないけど…でも、いろいろな環境で腕を磨きたいと思ったから、あっちに行ったんだ。パリにいる間も、ストイックに頑張ってたんだと思うよ。」
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