逢う魔時

6/68
249人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ
「ああ、もちろん。ただ、このご時世、パリにいた、というヒントだけで君の情報が特定されないとも限らない。…君のお父さんが今になってうちに来た、というのがどうも気になってね。何事もなければいいんだが、念のため頭の片隅に置いておいてくれないかい?」 「わかりました。教えてくださってありがとうございます。でも、東京はこっちと違って人であふれかえってるから、やみくもに探しても見つからないだろうし。それに僕はフリーで料理の仕事をしているので、勤め先が見つかる心配もないですし、SNSもほとんど休眠状態だから…何もないと思いますよ?」 「うーん。杞憂で終わればベストだけどね。お金に困っているとすればしつこいかもしれないから、くれぐれも気を付けて。何かあったら必ず連絡してね。」 「はい。ありがとうございます。」 治樹と力弥はそこで改めて親友二人を祝福し、その家族に挨拶をすると東京へ帰った。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!