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「あれ、本読むのやめた?」
「隣にうるさい奴がいたら読めるものも読めない。」
「失礼だな〜」
「事実だ。」
そうこうしているうちに出入り口が閉められ、講堂内が暗くなる。
壇上に映像が流し出され、入学式が始まった。
理事長なり来賓なりが長々と話をしてとても退屈だ。
自分にだけ聞こえるような声でタリヤ=ローレンは言う。
「お前、あんまりそこらのおぼっちゃまじゃないな。」
先程とは打って変わってとても冷静な声だった。
僕は何かを見透かされたような気がして、それを抑えるように聞き返す。
「おぼっちゃまも何も、商会生まれの平民さ。」
「へぇ、商会生まれなんだ。将来は商人に?」
「もちろん。じゃなきゃここには通わない。」
「大変だな〜」
「そういうお前はどうなんだ?」
「魔法職の家系。魔法職とは言っても様々で、薬師になったり研究所に勤めたり、たまに才能ある人は宮廷魔法士団に加入する。」
「研究職寄りなんだな。お前はそんな風には見えないけど。」
「仰る通りで、俺は全くそんな感じじゃないんだよね。どちらかというと戦っていたい。」
「血の気多...。」
そんなこんなで話していると講堂が明るくなる。
入学式が終了したことを確認して生徒達がだんだんと席を立ち始めた。
「レイルはクラスどこ?」
「B。」
「一緒じゃん!教室一緒に行こーぜ!」
「なんで一緒なんだよ...。」
苦渋の表情をしながら教室へ向かう2人だった。
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