花信風(かしんふう)

6/20
前へ
/20ページ
次へ
後輩ちゃんの成功例を参考に、 珍しく同窓会にも出席し。 そこで隣に座った西原くんに 酔った勢いで心に秘めておくべき その本心を言ってしまったワケだ。 >だってそこそこ美人だよ?! >きっと結婚したらお得だよ?! >私だったら絶対に、 >私と結婚したいもん!! ううう…。 いま思い出すと恥ずかしくて死にそう…。 寡黙で優しい西原くんは、 仕方なくそんな私を介抱してくれて。 無事にマンションまで送り届けた上に、 翌日、安否確認の電話までくれたのだ。 ふっ、よほど私が哀れだったに違いない。 …そんな回想に耽っていると、 ワザとらしく脚を組み直した前田くんが 運ばれたロックグラス片手に口を開いた。 「西原って全然目立たなかったよな? 大抵は教室の隅で…えっと誰だっけ? ああ山下だ。山下と2人でツルんでてさ。 悪いけど俺は人気者だったから、 いつも輪の中心にいたし、 奴とはあまり接点が無かったなあ。 アイツってどんな感じ? いま何の仕事してんの? もしかしてあんな男と結婚して、 後悔してるんじゃないのか?」 …この人、いちいち自分を上げないと 話が出来ないのだろうか? 鼻につく。 ああ、すごく鼻につく。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

273人が本棚に入れています
本棚に追加