警護

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警護

 日向は私立探偵だ。かつては東武警察署で働いていた。  探偵事務所は東武駅のマクドナルドの近くにかまえている。  依頼人が早速来た。 「車を警護してほしい」  男から20万を受け取った。   依頼人の車を守る日向の車のまえに銃を持った寺島進みたいな男がヌッと現れた。 「あっ、スミマセン。あの、お名前は?」 「クニカラだ」  国殻でいいや。 「電話番号教えてください」 「いいから早く警護しろよ!?」 「今からですか?」 「文句あんのか?」 「いえ、どこまでですか?」 「新宿だ。取引が終わったら宇都宮にある事務所まで警護してくれ」 「分かりました」  日向は武器庫からマーメイドを取り出しホルスターに仕舞った。 「所長、ワクワクしますねぇ?」と、沖田。 「だなー」  2人とも大のアクション映画好き。探偵になったきっかけもそれだ。  依頼人が愛車のカイエンに乗り込む。  レガシィで追尾する。運転は沖田、日向は助手席でエロ本を読んでいる。「出発進行!」    カイエンは首都高に入った。梅雨の時期だが青空が広がっている。レガシィのオーディオからはかぐや姫の『神田川』が流れている。 「古いっすね?」 「古いものこそよきものだ」  国殻はフォークソングが好きだ。 「誰の言葉ですか?」 「俺」  1台のバイクがサイドミラーに映った。  ヒットマンか!?  国殻はビクビクしたがバイクはレガシィ、カイエンを追い越し行ってしまった。思い違いか?  首都高を降りて靖国通りを走る。  物凄い渋滞だ。 「俺さ?昔、この辺りにドライブに来て事故ったんだよね?1万渡して何とかなったけど?アレって当たり屋だったのかな?沖田も事故には気をつけろ?」  日向は言った。  カイエンが『歌舞伎町1番街』ってゆーアーチの前で止まった。  沖田がレガシィを止める。  国殻が降りてアーチを潜る。  2人は国殻のあとを追った。  国殻はグリフォンってゆービルの階段を上ってゆく。  金のロレックスをした熊のような体型をした男が近づいてきた。  日向は思わず身を竦めた。  男は中学1年の担任だった雲井だった。
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