10.予告する知能犯

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「どうして出られると思う?」 「……これは確定した未来の話だ。5つの質問とは別に1ヵ月後なら答えよう。場所と時間はこちらが指定させてもらう」  疑わしそうなコウキの視線を、嬉しそうに受け止めたロビンが顎に手を当てる。思案する仕草は一瞬で、すぐに彼は椅子から立ち上がった。 「今話したら、計画がパーになるからな。何しろコウキは優秀だ」  囚われの身を自由にすると不吉な予言を残し、死神は背を向けた。彼の背で三つ編みが揺れる。手にした聖書を横脇に抱え、コウキはドアへ向かった。 「コウキ……明日も待っている」  意味深に『明日も』と強調したロビンは、数日後に予言を実行して姿を消した。  それはまた……後の話である。
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