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しかし私は人間の敵であるモンスター。でも敵対してる関係とはいえ、目の前で命を落とそうとしている生き物を放置するのは、非常に寝覚めが悪いです。
だから私はその人間を私の住み家に連れて行こうと思いました。
スライム一匹では重いソレを引き摺って、住み家に連れて帰りました。木の葉で作ったお布団を人間に掛けて、木で作った桶に水を汲んで、以前拾った綺麗な布切れを水につけ、人間の額に乗せました。
でもこれだけだとこの人間は死んでしまいます。毒消し草というものが必要になります。
人間は少し心配ですが、置いてそれを探しに行く事にしました。
確かに住み家の傍に生えていた気がします。えっこらえっこらと毒消し草を求めて、地面をズズズ、と進んで行きます。
やはり毒消し草はすぐ傍に生えていて、それをプチプチと千切って袋に詰めて行きます。それを持って帰ります。
住み家の前まで来ると、何やら物音がしました。そっと住み家の入口から顔を出すと、眠っていたはずの人間が目を覚まして、顔をこちらに向けていました。
どうやら物音の正体は、人間が少し手を動かした際に、桶が倒れてしまったものだったようです。
近付くのを躊躇いましたが、折角毒消し草を持って帰って来たので、私が攻撃されたら毒消し草を落とそうと思います。
モンスターが毒消し草を落とすのはいつもの事です。
私は人間にゆっくりと近付いて行きました。
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