スライム

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私が目を覚まして、人間を見ると人間はまだ目を覚ましていませんでした。 手を伸ばして、首に触れてみます。毒消し草が効いたのか、熱は下がったようで、熱くはありませんでした。 額にも手を乗せてみました。熱くは無かったです 良かった。 手をそのまま頭に持って行き、頭を撫でました。 「ん……」 いきなり人間が声を出して、目を開けたのでビックリして手を引っ込めました。 「あれ、俺……あ」 体を起こした人間が慌てて離れた私の姿を見つけました。私はさっと物陰に隠れました。その物陰から人間の様子を窺う事にしました。 「え、と、君は、スライム?」 物陰に隠れる私に人間が問い掛けて来ました。それに体を前に傾けて、答えました。 「そっか。でも何で俺を助けてくれたの?」 更に訊いて来る人間にプルプルと体を振って答えました。 「あ、もしかして喋れない?」 人間にそう訊かれて、答える事が出来ませんでした。 「まぁ、良いや。ちょっとこっちに来てくれるかな?」 手招きをした人間にプルプルと体を振って答えました。 「大丈夫だよ。痛い事とか何にもしないから、おいで」 優しい笑顔を浮かべて、手招きをする人間を信じて、ゆっくりと近付いて行きました。本当に人間は、隣に来た私に何もしませんでした。 それどころか、頭を撫でてくれました。 「ありがとう。君のお陰で助かった」 そう言って、頭を撫でてくれました。
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