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振り向いた先にいたのはカークさんです。
「スライムさん。俺と少しお話ししない?」
カークさんは私をしっかりと見据えてそう言いました。私は頷く事しか出来ませんでした。話は流石に村では出来ませんので、私の住み家でする事になりました。
「俺、魔物の偉い奴、倒したんだ」
住み家の前で一人と一匹で並んで話を始めました。
それは噂で聞いていた事でした。やはりカークさんは大魔王様を倒していたんですね。初めて言葉を交わした日からカークさんは英雄になられると思っていました。
「スライムさん、メオっていう名前じゃ無かったんだね。知り合いに同じ名前の奴がいたから、あれ?とは思ったけど」
知り合い、というのは先程の人間の事でしょう。あの人間も随分と大きくなったものだと感心しました。
「それでさ、スライムさんの本当の名前、教えてくれない?」
どうしてこの人間、カークさんは私の名前を知ろうと思うのでしょう。私にはカークさんの考えが理解出来ませんでした。
「……おかしいと思ってもらっても良い」
そう前置きをして、カークさんは私を見つめて言いました。
「俺、スライムさんの事、好きかもしれない」
そう言ったカークさんの目は真剣なもので、嘘なんて吐いているようには思えませんでした。
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