チートな世界の片隅で

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それだけ、神様と肩書きを得た青年は謎多き存在であった。 スピカはクリテイックで彼の弟が死んだことを知っている。双子の弟だ。毛髪の色も性格も全く違う。そうして弟が死んだ切っ掛けを作ったのは他ならぬスピカであった。 スピカは四年前にクリテイックにいた。里親のルイ・ランスという博士が所属していた施設で留守番をしていた。そこに銀髪の青年が訪ねてきたのである。銀髪の青年は恋人を探していると言った。それがルイに助けを求めたスワンという女性であることはスピカも直ぐに気が付いた。しかし居場所は知らなかった。ルイに聞くという銀髪の青年に迫られて、ルイの研究施設に行ったスピカは、そのとき行われていた実験の餌食となって、種術の使いすぎによるホルモンバランスの崩壊で女になってしまう体質になってしまった。そのショックから抜け出せないまま、ルイのところに行けば、そこでは二次元生物を具現化しようとしている現場に遭遇してしまった。その場では暴走プログラムを静めようとするラグスとユーリ、そしてルイとスワンが居た。事態は悪化するばかりでどうにもならず、ルイがスピカに告げた解除ボタンは破壊のスイッチだった。そのスイッチを起動させたあとクリテイックは崩壊した。スピカ、ラグス、ユーリは生き延びたが、ルイ、銀髪の青年とスワンは死亡という扱いになった。スピカはその後、ユーリの手引きで監獄島に渡り、警隊の資格を二年で習得し、第一警隊の副隊長に滑り込んだ。
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