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ハダカノオウサマ
辞めさせた新人の数を自慢するたび、彼のうしろに並ぶ影が増えてゆく。
離れた方がいい。
ワカレタホウガイイ。
ろくでもないやつだ。
口々に言う影たちにうなずく。
どうしたの?
彼が問い、私は答える。
もう会いたくない。
彼の右手が、ひゅっと空を鳴らす。
影が、それを握りしめ、抑える。
バイバイ、ハダカノオウサマ。
出ていく背中に降るのはキスでなく、罵詈雑言。
ねえ、そうやって、誰かを苦しめてきたんだね。
彼には聞こえない。
聞こうとしない。
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