ロイヤルミルクティーは私を癒す

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私は、すっかり冷たくなったロイヤルミルクティーを飲み干し、席を立った。 振り返るとそこには、二人がけのテーブル席に座り、手鏡を見てリップを塗り終えたらしい『えみこさん』がいた。 そのまま、ポーチからは目薬を出していた─。 「さて…と。」 今夜は久しぶりの出会いの場、飲み会だ。 20代最後の年、どこか危機感を抱かずにいられない私は、不安の波に定期的に押し寄せられる。 5年前だったら、[授かり婚]をアラアラと思っていたけれど、今となってはそれさえも羨ましく思う。 もちろん、女性にとって結婚や妊娠出産が全てじゃないことは重々理解している。 けれど仕事に生き甲斐を感じられない私にとっては、それらはやはり手に入れたい夢なのだ。 そして、親友のはるだけには先を越されたくない。 そんなどうしようもないライバル心を燃やしたところで、こればかりはどうにもならないのだけれど。 大学生のお遊びの合コンとはわけが違う。 私は、戦闘態勢を調えるために予約したエステサロンへ向かう─。 END
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